「ブルキナ先生」と呼ばれたい

ブルキナファソを知る「先生」に、ブルキナファソで「先生」になるために

キャッチボール


こんにちは。


自分の性格の事情で、更新がかなり遅くなってしまいました。
何もしていなかったという訳ではありませんよ。
何も書くことがなかったという訳ではありません。
性です。


ご了承ください。


ということで二か月分を記事にしたため、
自然と文字数が多くなってしまいました。
意図したわけではありません。
故意です。


ご了承ください。




ブルキナファソに来てもうすぐ5カ月が経とうとしています。


フランス語にもブルキナの暑さにも
以前に比べると慣れてきたと思います。


活動も管轄の学校を回って授業を見ては、
休み時間に落花生の殻を一心不乱に剥き、食べ、
先生たちとおしゃべりしつつ、


唐突に開催される“先生プレゼンツ現地語講座”が始まると、
「右手にペンを左手に落花生を」という装備で、
フランス語と現地語のジレンマと戦っています。


フランス語と現地語によるダメージが蓄積してきたら、
ピーナッツを食べてHP回復。
でも毎回ピーナッツの供給が需要に追いついていません。



(自分の出身地は落花生が有名で、
「千葉県はピーナッツ県って呼ばれてるんだよ」と
冗談を言ったら鼻で笑ってくれました)





そんな日々を送っている私ですが、
学校巡回をしていく中で、
「先生と子どもの心の距離が遠い」というに気づき始めました。


確かに先生が教室に入ってくると
子どもたちは起立をして挨拶をし、
「授業を始めます」と先生が言えば、
児童はすぐに授業の準備をしています。


教室の中にある程度の規律はあります。



でも、先生たちは授業以外でほとんど子どもたちと話しません。
休み時間は先生同士で談笑と爆笑を繰り返し、
授業が終わるとすぐに帰ってしまう。
先生と子どもの間に「会話のキャッチボール」がない


そして、授業中も子供たちには勉強の話しかしません。
中には授業中全く笑わない先生もいます。
休み時間あんなに笑っているのに。



子どもたちも授業中以外は先生に話しかけようとしません。
先生に話に行くときは決まって友達の告げ口。


「〇〇が友達を叩いた」
「〇〇が授業中寝てました」だけ。


児童理解は学校教育にとってとても重要ですが、
ブルキナの先生たちは
子どものことを理解しようという姿勢があまり見られません。


なので、ほとんどの学校で


子どもたちは先生のことを「敬っている」のではなく、
「恐れている」という印象を受けました。



問題に正解できないと罵声を浴びせられ、
げんこつで頭を殴られ、
時には鞭で叩かれる。


子どもが先生を怖がるのも無理ありません。



と言っても私にとって休み時間は、
先生たちとコミュニケーションを取る唯一の時間なので、
学校にいる間はほとんど子どもと話すことができない。


「子供と触れ合う時間を作りたい」


学校巡回を始めてしばらくして、
この問題に当たりました。
すると日本から素敵な贈り物が。



某連盟からブルキナファソに野球道具が沢山届き、
そのいくつかを自分の配属先に譲ってもらえることになったのです。



そして、
このサプライズを受けて私に1つの考えが浮かびました。




「昼休みに子どもたちと野球をしよう」




「ブルキナファソの小学校では、
午前中の授業が終わると3時間のお昼休憩がある。
その時間を使って子どもたちと
野球を通してコミュニケーションを取ろう。」


次の日から学校に早めに行って、
暇そうな子供を捕まえて
唐突に“奥野プレゼンツ野球教室”を開催しようと決めました。




そして初日。
昼食後、学校に早めに行ってサッカーをしている子供たちに忍び寄り、
「今日は野球をしようよ」
と声を掛けました。


首都のワガドゥグと異なり、自分の任地では野球の認知度が低いので、
最初は子どもたちも「野球って何?」という顔をしていましたが、
グローブとボールと用意していたキャッチボールの動画を見せると、
ペアを作って見よう見まねでキャッチボールを始めました。



さすがはアフリカの子供。
投げることに関してはかなりの素質があり、
最高で約50メートル投げることができる子も。


しかしながら遠近感は絶望的で、
相手からの送球を取ることがほとんどできません。


でも子供たちはとても楽しそう。


キャッチボールというよりドッジボールに寄りではありますが、
夢中になってボールを追いかけています。




そして、野球教室を終えて授業が始まるまでの間
子どもたちとおしゃべりする時間もできました。



「日本の子どもはサッカーするの?」とか、
「マサの肌はどうして白いの?」とか、
「マサには奥さんが何人いるの?」とか、
「マサ、髭剃らないの?」などなど。



返答に困る質問もありますが、
この質問コーナーの時間は、
授業の時とはまた違う子どもの顔を見ることができます。


子どもと野球をすることが楽しいという理由もありますが、
子どもと触れ合うことでブルキナの子供たちの理解を、
そして先生だけでなく子どもの立場にも立って活動をするためにも、


野球の普及活動を今後も続けていきたいと思います。



当面は野球においても会話においても
「キャッチボール」ができることを目標にします。



最近は、平日のお昼は学校に早めに行って、
一日の一番暑い時間(気温約40度)に子どもと野球をしています。




また、学校で野球を始めると沢山の子供が来てくれるのですが、
グローブが足りずいつもバーゲンセールのような状態になります。



取っ組み合いになったり、グローブを引っ張り合ったりすることもあるので、
野球を通して「譲り合い」「物を大切さ」
子どもたちに伝えたいと思いました。




※あとがき


野球をした男子児童は
午後の授業でほとんどの子が上裸で授業を受けます。


先生が、
「どうしてそんなに汗をかいてるんだ」
「服を脱いでいるのはなぜだ」


と言ったら教室にいた子供たち全員が
私に熱い視線を送ってくれました。
先生は子ども同様汗だくの私を見て、
また鼻で笑ってくれました。